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怪我してしまった歯、外傷歯の対応について

怪我してしまった歯、外傷歯の対応について

2024/11/05 ブログ

こんにちは。京橋 銀座みらい歯科です。
11月に入り、晴れている日中は暖かくても朝と夜は肌寒くなり秋を感じますね。

さて、今日はお子様などに多い歯の外傷についてのお話をしたいと思います。

歯の外傷について

歯の外傷は1〜2歳の乳幼児と7〜8歳の学童に多発する傾向があり、原因としましては転倒、衝突、打撲などがあります。

スポーツなどをされている方は歯の外傷のリスクが上がりますので、適切なスポーツ用のマウスガードなどのプロテクターを使用する事をお勧めしています。

マウスガードは外傷を予防するだけではなく、万が一歯が抜けてしまった場合もマウスガード内に歯を保持することができ口腔外への紛失や、地面に落ちることなどの汚染から歯を守ることもできます。

スポーツ等をされていない方でも転倒してしまったり、日常生活で思わぬ怪我をされることがあると思います。歯の外傷は最初の対応がその歯を残せるかどうかに大きく影響します。

予め対応を知っていることで緊急時にもすぐに対処できると思いますので、今回はどのように対応するかも含めお話させていただきます。

歯の外傷には

歯冠破折、歯根破折、歯冠歯根破折、脱臼、歯の外傷に伴う歯槽骨骨折があります。

下記でそれぞれについて解説していきます。

仮

A. 歯冠破折

歯冠破折には大きく分けて3種類あります。

①不完全破折(亀裂)

エナメル質内での不完全な破折であり亀裂が見られます。

基本的には経過観察をすることが多いですが冷水などでしみる症状がある場合はプラスチックなどで表面をコーティングする処置をすることもあります。

②露髄を伴わない歯冠破折

エナメル質破折、エナメル質象牙質破折の2種類に分類されます。

破折した歯のかけらが戻せるようであれば接着して修復します。困難であればプラスチック等で修復します。破折している量が大きい場合には被せ物で修復することもあります。

③露髄を伴う歯冠破折

露髄を伴うエナメル質象牙質の破折で破折面にピンク色の歯髄の一部が確認できます。

歯根未完成歯の場合:

露髄の程度と状態に合わせて神経の保護する処置を行います。1〜2ヶ月後問題なければプラスチックや被せ物で修復します。

歯根完成歯の場合:

露髄面が新鮮な場合は同じように神経を保護する処置を行います。新鮮な場合とは概ね受傷後24時間以内のものです。

受傷してから時間が経ってしまっていたり、明らかに感染を起こしている場合は根の治療を行います。

いずれも1、3ヶ月後に予後を確認し、少なくとも3年間は経過を見ることが重要です。

どの場合も受傷後すぐの来院と処置が、良好な治療結果をもたらします。

B. 歯根破折

セメント質、象牙質、歯髄を含む歯根の破折です。

破折部分がずれてしまっている場合はなるべく早く正しい位置に戻し固定します。

受傷後は隣の歯に固定し2〜3ヶ月は動かないよう強固に固定します。歯髄が死んでしまった兆候が現れた場合は根管治療を行います。1、2、3、6、12ヶ月後に予後を確認して経過を見ていきます。

この場合は受傷時の状態や破折位置によって予後が左右されます。

C. 歯冠歯根破折

歯冠から歯根に達している破折で歯髄まで達している場合とそうでない場合があります。

破折の程度によって処置をきめます。歯茎の下の方まで破折している場合は歯を保存することが厳しい場合もあります。

D. 脱臼

脱臼には大きく分けて6種類あります。

①震盪

異常な動揺や歯の移動を伴わない歯の支持組織への外傷です。

基本は経過観察を行います。歯髄が壊死してきてしまった場合は根管治療を行います。

②亜脱臼

歯の移動はありませんが、明らかな動揺を伴う歯周組織への外傷で歯根膜に断裂があります。

通常固定は必要ないことが多いですが、咀嚼時に疼痛がある場合は2週間ほど固定します。1、3ヶ月後に予後を確認します。その後一年は経過を観察します。歯髄が壊死してきてしまった場合は根管治療を行います。

③側方脱臼

歯の歯軸方向以外への転移です。

可能な限り早く歯を正しい位置に戻し、安静を保ちます。2週間ほど固定を行います。1、3ヶ月後に予後を確認します。その後一年は経過を観察します。歯髄が壊死してきてしまった場合は根管治療を行います。

④陥入

歯の根尖方向への転移です。

永久歯の場合は歯を正しい位置に戻し、安静に保ちます。整復後6週間固定を行います。固定開始から10ヶ月後に根管治療を行います。根未完成歯の場合は自然に再萌出してくるのを待ちます。

乳歯の場合は後続歯胚を障害している場合、帝位が著しい場合を除いて自然に再萌出してくるのを待ちます。

1、2、3、6、12ヶ月後に経過観察を行います。

⑤挺出

歯の切縁方向への転移です。

整復し2週間固定を行います。1、3ヶ月後に予後を確認します。その後一年は経過を観察します。歯髄が壊死してきてしまった場合は根管治療を行います。

⑥完全脱臼(脱落)

歯槽からの歯の完全な脱離です。

可能な限り早く歯を正しい位置に戻して安静にします。全身状態が悪い場合や、感染を起こしている場合は再植を行えない場合があります。

乳歯の場合は、再植することで後継永久歯に損傷を与える可能性がある場合は行いません。

整復し2週間固定を行います。根完成歯では10日後に根管治療を行います。

1、2、3、6、12ヶ月後に経過を観察しその後定期的に3〜4年は経過を観察する。

完全脱臼は脱落歯の状態が再植の予後に大きな影響を与えます。もし直ちに再植できない場合は保存用の溶液中に保存する必要があります。この保存用の溶液として使えるものにはいくつか種類があり、次に紹介するものです。上から望ましい順で、

・移植用臓器輸送用液

・細胞培養培地(歯の保存液)

・冷たいミルク(ロングライフミルク、低脂肪乳を除く)

・生理的食塩水

があります。このうち歯の保存液は薬局でも取り扱っているところがあります。

歯が抜けた場合は歯の保存液で20秒ほど軽く洗ってください。歯の保存液がない場合は生理食塩水かコンタクトレンズの保存液で代用してください。これらがすぐに用意できない場合は牛乳で代用します。

水道水につけてしまうと細胞が死んでしまうので注意してください。

洗浄する際は歯の頭の方を持って根っこの方は触らないようにし表面のピンクの組織は洗い流さないようにします。

これらの溶液が手に入らない場合は口腔内に保持して来院して下さい。

E. 歯の外傷に伴う歯槽骨骨折

歯の側方脱臼等に伴う歯槽骨の骨折です。

歯、骨片等を可能な限り正しい位置に戻し安静に保ちます。ワイヤーやプラスチックを使い6週間固定します。

歯の外傷後はなるべく早く歯科に受診してください

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歯を外傷で破折してしまったり、抜けてしまった場合まずはなるべく早く歯科にかかることが重要になります。

その際に、欠けた歯の欠片や抜けてしまった歯を必ず持ってきてください。また欠片や抜けてしまった歯の保存状態が、良好な予後につながります。

受傷時は慌ててしまうことが多いと思いますが、予めこれらの知識を知っておくことがその時に焦らず適切な行動ができることにつながると思います。

京橋銀座みらい歯科では歯やお口のことについての情報についても発信しております。何か気になること、ご質問等ございましたら気軽にお尋ねください。

京橋 銀座みらい歯科 歯科医師 有輪

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